
あらすじ
新宿駅を舞台に黒山が撮影したMVの出演がきっかけで夜凪の知名度は世界的に広がることになる! 一方、天知の暗躍により、ずっと抑えていた感情を浮き彫りにさせられた千世子と阿良也。彼らを巻き込み、天知は新たな舞台を企てる――。 bookwalker作品紹介より
というお話です。原作 マツキタツヤさん 漫画 宇佐崎しろさんです。
登場人物
夜凪景:銀河鉄道の夜の舞台を終え、学校でも友達を作りついに活動を再開。
百城千世子:夜凪の動画を見て、それを上回るために。主人公であり続けるために。夜凪だけでなく、全盛期の星アリサをも超えるために。悪魔と手を組む事を決める。
明神阿良也:劇団天球を守るために、巌さんにあって今の阿良也に無いもの。『知名度』を獲得するために天知の誘いに乗る。という感じの導入だけど、本当はもっと自分を高めたいとかそういう理由だったらいいな。って思います。あんまり俗っぽい感じは似合わん。
王賀美陸:羅刹女の舞台にて夜凪の共演相手。スターズを捨てた男。15の時に様々な賞を取り、16の時にスターズを捨てる。圧倒的なカリスマ性を持つ。通称『リッキー』
感想
新宿ガール大好きなんですよね!話としては凄い短いけど!そしていよいよ始まる舞台羅刹女!
はい!というわけで、今回紹介するのは『アクタージュ』の8巻です!
これを書いている2019年11月現在ではこの8巻が最新刊。次の9巻が12月に発売されます。本誌の方では舞台羅刹女が始まっています。
なんというか、まだ8巻しか出てないんだなぁという感じがします。もっと長く連載してる気がする。
本誌で読んでると、劇の内容がわからなくて心理描写が多いので、全然話が進まないなぁと思うんですが、単行本で見ると思ったより短い。不思議。
最近では感想を書くたびに『あまり好きじゃなかった』みたいなネガティブな感想が多かったですが、この8巻は好きです。なぜなら、新宿ガールが好きだから!です。
なぜ好きか?みたいな話も含めて、紹介していきましょう。
ゲリラMVを撮影する
『久しぶりに撮らせろよ』と、なんか妙にいやらしい元カレみたいな感じで、黒山との撮影が決定しました。
8巻の冒頭は星アリサと黒山の話合いから。黒山としては、夜凪の様子がおかしかったけどとりあえず立ち直ったよ。という話。
しかし、アリサはいたちごっこだと。次はどうなるかわからない。と。
壊れてしまうかもしれない夜凪を心配しているところは、月影先生とは真逆のスタイルですね。月影先生はむしろ率先して人格を破壊してくるタイプの人間なので。
そしてスターズからの帰りに千世子に会った黒山。その時の感想がこちら。
どうでもいい事ですが、この口調なら『私が』じゃなくて『ウチが』の方が個人的には好みです。どうでもいいんですけどね。
で。これから撮影をしよう。という時に、黒山が夜凪にこんな事を言いました。
「お前と千世子、どっちの芝居が上だ?」
いいですねぇ。バトル漫画のノリですよ。夜凪は千世子が大好きなので、当然そんなの・・・。
というわけで、無条件に『千世子ちゃんが上』とは言わなくなりました。心の中に芽生えたプライド。これが良い事なのか悪い事なのかは、まだわかりませんが。
そして、始まるゲリラ撮影。大黒天ズが乗った電車は新宿駅に着きました。電車のドアが開いた瞬間、夜凪と黒山が飛び出していきます。
ここから、後に『新宿ガール』という異名をとる事になる伝説のMVの撮影が始まります。
そんなに長いシーンでもなく、黒山と夜凪の間に会話らしきものもない(少なくとも読者目線では)という内容ですが、俺この新宿ガールの話が大好きなんですよ。
なんで好きかと言うととにかく夜凪が楽しそうだから。です。
デスアイランドの時は、映画の内容はあまり楽しくはなさそうな感じの作品でしたが撮影自体は結構楽しそうでした。ラストを除けばそんなに演技で追い込まれるって事も無かったし。
そこから先は、銀河鉄道の夜ではもう感情というか『生と死』みたいな概念の話ばっかりだったし、学校編では『昔の冷たかった頃の夜凪』にスポットが当たる事が多く、映画の中ではあまり楽しそうに笑う場面が無かった。
なので、あまり楽しそうに演技する夜凪の印象が無いんですよね。どっちかと言うと無感情というかいまいち何考えてるのかわからないロボみたいなイメージが強い。
それに対して、この新宿ガールのMVは本当に楽しそうな夜凪が見れます。
この『自由に』というのが本当に彼女には無い。単行本派の人には少しネタバレにもなりますが、これから先も当分の間彼女が自分の好きなように、楽しいという気持ちで演じる場面はほとんどありません。
『笑いたいなら笑い泣きたいなら泣け』というこの言葉。凄い大事。
確かに舞台に立ったり映画に出演したりで完全にプロの役者の領域なんですが、それでもJKなので、もっと女子高生らしいところも見せて欲しいと思うんですよ。楽しそうにしてほしい。
夜凪自身は常に『自分の意志で』というスタイルなんですが、いつもそれを上回る大人の都合に振り回されてしまう部分があって可哀想なので。
俺がこの漫画を凄い好きだ。面白い!と思った場面が、そこの紹介でも書きましたが
このシーン。俺ここは何回読んでも鳥肌立つよ。こういう話がまた読みたい。今の本誌の状況からするともう完全に違う世界線の出来事ですよこれ。真逆ですからね。
広がる波紋
と、いうわけで。黒山が撮影した『新宿ガール』のMVは、世界に拡散され話題になりました。
そして、その事がキッカケで大きな歯車が動き始めます。
まずは阿良也に接触する天知。
劇団天球を守っていこうとする阿良也に足りない物。それは『知名度』でした。
それは天知だけでなく阿良也自身も気づいており、天知の誘いに乗る事にした阿良也。
この時まだ彼は、今後自分を待ち受ける運命など知るよしも無かったのです・・・。感ありますよね。今見ると。
そしてさらに千世子もまた、アリサに対して『このままだと自分の消費期限はどれくらいになるのか?』と尋ね、2年ほどだと言われてしまいます。
夜凪のあの動画を見て。
「悔しかったよ」
と言う千世子。
夜凪と千世子は違うから。だからこそ、生涯夜凪の上でありたい。主人公でありたい。だから、そのためになら悪魔とだって組むよ。
というわけで、千世子もまた天知の誘いに乗り、計画が進められていく新たなる舞台。
千世子VS夜凪の舞台は着々と整っていきます。
そして戦う
千世子から夜の公園に呼び出された夜凪。
会ってすぐに最近の近況をひたすら喋る夜凪。あぁ。もし俺が飼っている犬が会話出来たら、こんな感じなんだろうなぁ。と思いました。
そんな他愛のない話も早々に打ち切り、本題に入る千世子。
『次の仕事は共演ではない。ダブルキャスト。千世子と夜凪で同じ役を演じ皆に見比べてもらう舞台』
夜凪さん。これはね、あなたじゃない。
私が主人公だって証明するための舞台になる。
こうして、夜凪と千世子が同じ役を演じる次の舞台『羅刹女』の幕が切って落とされたのでした。
夜凪の共演者
千世子の共演者は阿良也のようですが、じゃあ夜凪の共演者は?
というわけで、ここで新キャラ登場です。
彼の名は『王賀美陸』
どうやら彼は、ハリウッドの映画出演をドタキャンしての来日のようです。15の時に様々な賞を取り、16の時に何億かの違約金を払ってスターズを辞めた男。
この段階ではまだ、なんかよくわからない破天荒な感じの男。という印象でした。
何気に26って結構な大人じゃないか。と思いました。
そして、相手の千世子の共演者が阿良也で、自分の共演者が王賀美だと知る夜凪。事前に黒山から何も聞いてないとかヒドイ。
『相手が千代子と阿良也だから怖かったら辞退するか?』
と黒山に挑発された夜凪。
本当の敵は他にもいるんですけどね(意味深)
顔合わせ
舞台『羅刹女』サイド甲
- 羅刹女役に夜凪景
- n
- 孫悟空役に王賀美陸
- n
同サイド乙
- 羅刹女役に百城千世子
- n
- 孫悟空役に王賀美陸
- n
と決まりました。
顔合わせにまず参加していたのは王賀美を除く3人。さっそくなぜかサイド乙のコンビが『どちらが夜凪の芝居を霞ませるか』で仲間割れ。こいつら内心夜凪の事好き過ぎないだろうか。
そして少し遅れて登場する王賀美。
『夜凪のために』とバラの花束を持って参上します。
登場するなりいきなり夜凪をお姫様抱っこで抱え・・・。
この時のサイド乙の目線もなかなかにヤバイ。モテすぎじゃないですかね夜凪さん。
ちなみに、これも今後わかる話なんですが、もしかしてリッキーのナンパのパターンは『お姫様抱っこからのキス』しか無いんじゃないだろか?と思わないでもないです。
破天荒に見えて結構紳士だからね。嫌がるところを強引に。みたいな事はしないタイプだと思います。知らんけど。
ちなみにこの『羅刹女』という舞台は、生の舞台だけでなく全国のシネコンと動画配信でも公開予定だそうで。
動画配信は覚えてたけど、全国シネコンてのもあったのね。凄いなこれ。
そしてここまでの概要を聞いて、我らが夜凪ちゃんの感想がこちら。
読んでて胸が痛いよオジサンは。
昨日の友は今日の敵
動画配信サイトでの公開も予定されている。これはつまり、世界中の同時公開ではっきり数字で勝ち負けが出てしまう。という事。
そしてもし、ここで千世子が負けるような事があれば、今まで築き上げてきた物を全て失うだろう。と。
『スターズを捨てた男』はまだしも『スターズが捨てた女』は世間は知らないのでは?と思うわけですが、まぁおそらく認知度で言えば夜凪なんかリッキーの足元にも及ばないので、主に『リッキーに負けた』という部分が大きいですかね。
とにかく、千世子としてもスターズとしても負けられない戦い。そんな戦いに千世子を参加させるために星アリサが天知に出した条件が・・・。
サイド乙 演出:黒山墨字
という事でした。なんかアリサさん発想がズルくない?ちょっと千世子に甘くない?
こうして、これまで一緒に頑張ってきた人達はほぼ敵に回るという悲しい展開。
夜凪陣営の顔見知りというか過去の共演者はデスアイランドで共演した武光だけになりました。
本読みが始まる
そしていよいよキャストも決まり、ついに本読みの段階に。
もうここからとにかく何回も何回も何回も聞かされる事になるセリフです。
王賀美と向かい合って本読みをする夜凪でしたが、王賀美の持つその天性のカリスマ性によって飲まれてしまいます。
さらに、サイド甲の演出家が黒山ではない事を知って怒り出す王賀美。そんな王賀美に
「3日時間を頂戴。黒山さんのことなんて私が忘れさせてあげるわ」
と言い出す夜凪。果たして、本当に3日で王賀美を満足させる女になる事が出来るのか!?
それから
ここまでで8巻の3/4くらいです。ここからは、千世子が新しい演技の世界に踏み込んだり、夜凪が制服姿で登山したりで8巻は終了です。
夜凪が制服で登山したその先で出会った女性。彼女こそが、後に『アクタージュ界の鬼舞辻無惨』と異名を取る事になる伝説の女性なのですが、この時の夜凪はまだ自分の運命を知らないのでした。
読み返した感想は『あぁ・・・。この時は結構楽しそうにやってたんだな・・・。』という感じでした。
この時はいい人だったのに・・・。
もしもアウタージュがアニメ化するなら、OPかEDで新宿ガールの映像を流して欲しいです。
9巻へ続く
画像:「アクタージュ」コミックス8巻より引用